|
チベット暴動を切欠として、中国国内での少数民族による抗議活動が後を絶ちません。
民族対立に加え、宗教対立、資源をめぐる利権など様々な思惑が絡みあっているため、一筋縄で解決する問題ではありませんが、ウルムチでの暴動に対して、香港の『明報』が以下のような社説を掲載していましたので、ご紹介いたします。
———————————————————————————-
「社会的不安が共産党政権の統治継続への脅威となる」
「明報」2009年7月11日 日曜日 10:20付け
ウイグル暴動の発生後、国際的な注目を浴びている中国だが、この根底にあるものは分裂活動なのか、或いは結局のところ民族対立なのだろうか?アメリカの「ニューヨークタイムズ」評論版が7月7日に出した文章で、その騒乱の背景がこう分析されている。
アメリカ「ニューヨークタイムズ」評論版 7月7日付け記事:
作者:Russell Leigh Moses
新疆での騒乱の印象について、海外の分析家は、こうした社会的不安が共産党政権の統治継続を脅かすだろうとしている。もし、政府の関係者がこうした実情を熟慮しなければ、どうやって同種の事件の再発を避けられるだろうか。以上の予言はある日現実のものとなり、中国政府は一日で失脚するだろう。
もし中国政府がこの暴動について、「ウルムチでの死者は少なくとも156人であり、多数の官員が今回の衝突について、ウイグル人は恩をあだで返したと思っている。その中の一例が、暴徒は中国人の商店だけを標的にしていることだ」と見ていたとすればなおさらである。
「人民日報」一面の社説では、一連のデモ行動はただ単に暴徒たちが破壊活動を起こしたいだけに過ぎず、ウイグル人の不満を表すものではない、としている。こうした観点からの分析は北京において相当広まっており、政府の鎮圧を意外なものだと感じた人は少なく、声を挙げて応援する人も決して少なくない。北京の東方に店を構えるある店主は、新疆での同業者を支持しており、彼は、「政府は大量の資源を新疆に投入しているというのに、なぜウイグル人は恩を感じないのか」と逆に聞き返したいという。
こうした国家統一を支持する心と、不安定な感情を案ずる心は、政府の経済改革を通して、ウイグル人の生活を改善し、彼らの支持をとりつけようとする努力を帳消しにするものであり、政府は強硬な態度をもって彼らに対応することができるとしている。ウイグル人の、ひとつ見落とされた憤慨の中には、北京はイスラム教を弾圧しており、新疆では中国人ばかり良い仕事について、少数民族は政府の雇用を獲得できないという。また、中国において商業活動をするのも、政府の胸先ひとつでどうにでもなってしまう、ということもある。
宗教、習俗と教育の選択は、新疆においては国家によって制限されている。当局は、イスラム教のモスクを修理・保全しているが、子供たちが宗教活動に参加することは認めていない。デモ行動の二日目、モスクの外で騒乱が起こったが、これは中国のイスラム教徒たちが宗教の自由を獲得しようとしたことの表れである。当然、このデモ行動は政府によって鎮圧された。
官員たちは勝利を得ることしか頭にない
中国政府は、毎回のデモ行動制圧をその都度成功させており、一回の失敗もない。武力鎮圧も、演説しているデモ参加者を家に帰すのも、デモの発起人を逮捕するのも成功している。先月、河北省石首市にて、一名の男子の突然死が噂になり、千人もの民衆が路上に集まったが、政府が軍警察を出動させるやいなや、群集はすぐに解散したという。このほか、貴陽で起こった土地と労働賃金をめぐる争いも、公安によってすぐに鎮められた。
中国では、対話は衝突を解決するための方法ではない。事実上、ある新聞社の指摘するところによると、新疆でのデモ抗議者は最初とても平和的であったが、軍警察の数が増えるにつれ、騒乱がますます大きくなっていったのだという。
党の幹部もこれを知っており、北京の指導者は武力によってデモを鎮圧しても何も起こらないと思っている。その最も良い例が89年に起きた六四事件(天安門事件)とチベットのデモであり、当時、武力鎮圧を支持した幹部たちはすべて昇進し、いまや党の最高幹部層を占めているのだ。
多くの地方役人はこうした中央政府に戦いを挑む脅威に対し、既に慣れっこになっている。彼らは対外的な通信などをうまく制御することが可能であり、携帯電話とインターネットは暴動発生後すぐに停止され、暴動のニュースが流れたあとは、官員たちは特に、ニュース内容をコントロールすることに尽力したという。私も北京にいる友人にSMSを送信してみたが、政府が作ったテンプレートのメッセージだけが返ってきた。
政府系メディアはただ、中国人の商店が焼かれ、略奪に遭ったとしか報道せず、ウイグル人が襲われたということは報道しない。また、「状況は安定している」という言葉を繰り返すだけである。当日、ネットユーザーたちは少なからず直接的なニュースを流したが、どれも部隊による銃弾の影響には及ばないものであった。
官員たちは勝利を得ることしか頭にないが、将来、住民たちのどのような不安が爆発しようとも、間違いなく、制圧できるだろうと信じている。デモ抗議は中国に民主化をもたらさない。共産党はあまりにも大きくて強すぎて、下から上への改革を許さないものであるからだ。
———————————————————————————-
「我々はわざわざ未開文明を発展させてやったんだ」という中国人と、「大国に虐げられる少数民族」という対立の図式は、それこそ黄帝と蚩尤が涿鹿の地で戦ったころからありましたが、チベットやウイグルでは多数の子供たちが中国軍によって連れ去られたり、いわれのない弾圧を受けているといいます。
それが真実であるかどうかはここでは議論しませんが、国内で「天安門」や「チベット」などに関する情報へのアクセスが制限されていたり、はたまた捏造されていることからすると、おのずと答えは出てくるのではないでしょうか?
|
›› コメントする »